2008年12月12日金曜日
ありがとうございました
先日、70年代音楽業界の重鎮であるJさんがお亡くなりになって、そのお別れ会に赴いた。僕もデビューの前から色々とお世話になっていて、それこそデビューしてからの5、6年は本当にあれやこれやと応援してくれていた。
「陣ちゃん、仕上がった音を聴いたけどいいねぇ~。いけるよぉ。」
いつも顔を合わすたびに、こんな一介の新人アーティストをつかまえてはそんな風にしっかりと褒めてくれてた。
「陣ちゃん、Jさんがとっても気にしてたよ。会いたいなって。」
会えない時期も、お忙しい身なのに時々伝言を届けてくれる。
「ちょっと紹介したいんだよぉ」
そんな風に大先輩アーティストや業界で面白いことをやっている人なんかに会わせてくれたりすることもあった。大きな体だったけれどとにかくフットワーク軽い印象だった。そのJさんが闘病されていたのは耳にしていたけれど…天に召されてしまった。61歳。まだお若い。
お別れ会は晴天に恵まれた。それこそ沢山の大先輩アーティストやミュージシャン、スタジオ系、出版系、レーベル系、プロダクション系と本当に大勢の方々。僕もあちこちで色々な再会があった。会では歌を歌ったり、思い出を語ったりと後半になればなるほど和んでいく。友人の方々の口からでる想い出は、時々僕の小さな思い出とも重なる。本当に優しい人だったのである。実に「人と人」を善意でつなげてくれる人だったのである。目立つ肩書・立場とかではなく、こういう人を「偉い人」というのだ。
最近は、自分自身があの頃のJさんのように若いアーティスト達と接する立場になることがある。なかなか素敵な奴らは多い。ふと気付くと、あの頃Jさんに自分が言われて随分と支えられた言葉なんかが口を突いて出ていたりする。
「若いシンガーに思わずあんな言い方したけれど、あれってかつてJさんに言われてた言葉だなぁ・・・」
あまり人には言わなかったけれど僕の中ではやっぱり随分と救われていた言葉だったのだ。
会の終わりはJさんがかつて歌っていた時の音源で締めくくられた。初めて聴かせていただいたけど、それは想像以上に存在感のある曲で現代では考えられない真摯なメッセージ。日本のポップスシーンのパイオニア世代のブレイクスルーな凄さを目の当たりにした。様々なことを想い出しながら、また考えさせられながら、葬儀場をあとにした。Jさん、ありがとうございました。
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